トイレ交換の費用を少しでも抑えたいと考えたとき、一部の方が検討するのが「施主支給(せしゅしきゅう)」という方法です。施主支給とは、トイレ本体などの設備機器を、施主(リフォームを依頼する側)が自分でインターネット通販や量販店などで別途購入し、リフォーム業者には取り付け工事だけを依頼するというものです。この方法の最大のメリットは、トータルコストを安く抑えられる可能性があることです。業者のマージン(利益)が上乗せされていない価格でトイレ本体を購入できるため、特に高機能なハイグレードモデルのトイレを選ぶ場合などは、その差額が大きくなることがあります。また、業者では取り扱っていない特定のデザインやメーカーの製品を、どうしても使いたいという場合にも有効な手段となります。しかし、この施主支給には、メリットを上回る可能性のある、いくつかの大きなリスクとデメリットが存在することを、十分に理解しておく必要があります。まず、そもそも「施主支給での工事を請け負ってくれる業者を探すのが難しい」という現実があります。業者にとって、施主支給は工事の手間は同じなのに利益が少なく、さらに後述するリスクを負うことになるため、敬遠されることが多いのです。また、最大のデメリットが「責任の所在が曖昧になる」という点です。もし工事後に水漏れなどの不具合が発生した場合、その原因が「トイレ製品自体の初期不良」なのか、それとも「工事業者の施工ミス」なのかの切り分けが非常に難しくなります。製品メーカーと工事業者の間で責任のなすりつけ合いになり、結局、施主が板挟みになってしまうという最悪のケースも考えられます。通常のリフォームであれば、窓口は工事業者一つなので、不具合があればその業者に連絡すれば済みますが、施主支給ではそうはいきません。これらの大きなリスクを考えると、施主支給は、よほど信頼関係のある工事業者がいる場合などを除き、基本的にはリフォーム初心者にはお勧めできない方法と言えるでしょう。