都心に建つ築十五年のマンションに暮らす佐藤さん一家は、毎年のように夏になると現れる小さな虫の侵入に悩まされていました。特に風の強い日には、リビングの窓を閉め切っていても、どこからか虫が入ってくるのです。原因は、リビングの掃き出し窓にある網戸だろうと見当はつけていました。網戸を閉めても、サッシとの間に微妙な隙間があり、開け閉めも年々重くなっているように感じていました。佐藤さんは、まず自分で隙間テープを貼って対策を試みましたが、一時的な効果しか得られず、根本的な解決には至りませんでした。そこで、マンションの管理会社に相談してみることにしました。連絡を受けた管理会社の担当者は、一度状況を確認したいと、後日佐藤さん宅を訪問しました。担当者は網戸を慎重に動かしながら、メジャーで各所の隙間を測定し、下部にある戸車の状態を詳しくチェックしました。その結果、原因は戸車の著しい摩耗と、それに伴う網戸フレームのわずかな歪みであることが判明しました。長年の使用で戸車がすり減って網戸全体が沈み込み、その状態で無理な開閉を続けたためにフレームにも影響が出ていたのです。担当者は、これは経年劣化によるものであり、部分的な補修よりも網戸自体を新しいものに交換するのが最善の策だと提案しました。佐藤さんはその提案を受け入れ、管理会社が手配した専門業者に交換を依頼することにしました。数日後、業者が新しい網戸を持って訪問し、作業は一時間ほどで手際よく完了しました。新しい網戸は動きが驚くほどスムーズで、窓枠に吸い付くようにぴったりと閉まります。もちろん、あれほど悩まされた隙間はどこにも見当たりません。その夏から、佐藤さん一家がリビングで虫を見かけることはなくなりました。佐藤さんはこの経験を通じて、住まいの不具合を専門家に相談することの重要性を改めて実感しました。自己流の対策で時間を浪費するよりも、的確な診断と適切な処置がいかに早く快適な環境を取り戻せるかを学んだ事例となりました。
あるマンションの網戸隙間解決事例