築30年を過ぎた我が家は、冬になると廊下に出るのが苦痛で仕方がありませんでした。特に朝、布団から出る時の勇気といったら、まるで雪山で遭難しているかのような大げさな気分になるほどです。リビングでエアコンを最大出力にしても、足元は常に氷のように冷たく、厚手の靴下を二枚履きするのが当たり前の生活でした。そんな私たちが決断したのが、家全体の断熱リフォームでした。きっかけは、子供が独立して夫婦二人の生活になったことと、光熱費のあまりの高騰に驚いたことです。工事はまず、すべての窓に内窓を取り付けることから始まりました。職人さんがやってきて、わずか数時間で設置が終わったのですが、その日の夜から驚くべき変化が起きました。外を通る車の音が静かになっただけでなく、窓際から忍び寄っていた冷気がピタリと止まったのです。さらに、床下と天井裏にも高性能な断熱材を吹き込んでもらいました。工事中は多少の音や埃がありましたが、一週間ほどですべて完了しました。リフォーム後の最初の冬、私たちはこれまでの常識が覆される体験をしました。朝起きた時、室温が前夜の暖かさを維持しており、寝室からキッチンまで温度差がほとんどないのです。以前は結露でびしょ濡れだった窓枠も、今ではサラリと乾いたままです。最も驚いたのは、毎月の電気代が昨年の同時期と比べて三割以上も安くなったことです。初期費用はそれなりにかかりましたが、この快適さと将来的な光熱費の削減を考えれば、もっと早くやっておけば良かったと夫婦で話しています。断熱リフォームは目に見える派手な変化はありませんが、肌で感じる幸福感は他のどのリフォームよりも大きいものです。今では真冬でも薄手のカーディガン一枚で過ごせるようになり、家の中で活発に動けるようになりました。寒さに耐えることが美徳だと思っていた時代は終わり、これからは断熱によって健康と快適さを手に入れる時代なのだと、自分の家で毎日実感しています。これからリフォームを考えている友人には、キッチンを豪華にする前にまず断熱を考えるよう、熱を込めて勧めています。